鳥羽 海渡

さまざまな業界で活躍するトップランナーたちに選ばれるエドックス。連載企画“エドックス ラヴァーズ”では、彼らが愛用するエドックスウォッチへの想いに触れながら、プロフェッショナルとしての仕事へのこだわりや貴重なエピソードをご紹介します。

今回は、オートバイレーサーとして世界で活躍する鳥羽海渡選手。2014年には若干14歳にしてアジアタレントカップを制し、2019年にはMoto3で日本人初優勝を果たした若きレーサーに、2025年シーズンを終えたばかりのスペイン・バルセロナからインタビューに答えてもらいました。

日本ではまだまだマイナーだというオートバイレースの世界。数少ない日本人レーサーとして、どのような意気込みで挑んでいるのか。そして、競技の魅力はどのようなところにあるのか。レースの世界観を表現したエドックスの「クロノラリー クロノグラフ 45」の着用感想と共に、その熱い想いに密着いたします。

2025シーズンが終わり
見えた成長と課題

2025シーズンは、スーパースポーツ世界選手権の2シーズン目であるとともに、EWC世界耐久ロードレース選手権に初めて参戦した年でした。EWC世界耐久ロードレース選手権で1000ccを乗りこなせたのは、とっても良い経験になったと思います。それぞれ決して満足いく結果ではなかったのですが、成長することができたシーズンでした。

スーパースポーツ世界選手権では、技術面の向上を自ら実感できました。バイクの開発面や調整面では課題が残りましたが、最初のシーズンと比べるとトップとの差を縮めることができています。次のシーズンに向けて、良い感触を得ることができたシーズンといえます。

Moto3では250ccのバイクで戦うのですが、スーパースポーツ世界選手権では600ccの市販車ベースのバイクになります。排気量が違うとバイクの性質がまるで異なるので、EWC世界耐久ロードレース選手権で1000ccに乗れたことには大きな意義があります。もちろん、バイクの排気量の変化に合わせて、フィジカルの改造が必要でした。大型のバイクを押さえ込む力が必要になってくるので、体重を8キロぐらい増量させました。

もっと日本中に広めたい
オートバイレースの魅力

日本のオートバイレース文化は、ヨーロッパと比べるとかなり未熟な部分があります。規模もファンの人数も全然違います。日本にも鈴鹿8時間耐久レースいう素晴らしいレースがあり、僕も今年参戦させてもらいました。レース場では大変な盛り上がりを見せるものの、メディアの取り扱いは少なめです。もっと盛り上げるためには、日本人選手の活躍が重要になってくると思っています。

スーパースポーツ世界選手権は、レースに出場するバイクが市販車ベースとあって、ヤマハやカワサキ、ホンダといったお馴染みの日本メーカーが多数登場します。それら日本メーカーは毎シーズンとても素晴らしい結果を残しているので、レースを観たことがなくてもバイクが好きな方ならきっと楽しめると思いますよ。

バイクレースの面白さは、最後まで何が起こるかわからない点。転倒のリスクが常につきまとうからです。バトルも頻繁に起きますし、最終ラップでの大どんでん返しなんてザラにあります。Moto3のときは、排気量が小さいだけに特に混戦しやすく、最終ラップでもまだ10人、20人でバトルしている状態がよくありましたね。

わずか5歳で決めた
オートバイレーサーへの道

とにかく、一度サーキットに来てもらいたいです。あの速さ、あの爆音を聞けば、一瞬で夢中になれると思います。

5歳のときに、バイク好きだった両親の影響でバイクに乗り始めました。父の後ろに乗ってツーリングするのが、とても好きでしたね。最初は電動のポケットバイクで、それからエンジン付きのポケットバイクに。そのときから、このバイクレースの世界で生きていきたいと思っていました。7歳のときに、当時のツインリンクもてぎ(現在のモビリティリゾートもてぎ)でMotoGPの日本グランプリを見て、「いつか絶対にここで走ってやる!」と胸に誓ったことをよく覚えています。

普通なら危ないとか怖いとか思うのでしょうが、5歳からバイクに乗っているせいか、スピードへの恐怖心を感じることはありません。休日は趣味でサーフィンをやっていますが、大きな波でも怖いと思うことはほぼないので、怖いもの知らずの性格なのだと思います(笑)

ただ、気をつけないといけないのが、スピード感覚が一般の方とあまりにかけ離れているので、一般道を走っていると周りの車がまるで止まっているように見えるんです。レースでは最高時速300km超えで走っていますから。だから、一般道ではちゃんとメーターをチェックしながら気をつけて走っています(笑)

エドックスとともに
世界トップの座を狙う

一般的に、オートバイレーサーになる人の多くは、若い頃からバイクを始めています。ただし、経験を積むためにはかなりのお金が必要になるので、金銭面の理由で諦めてしまった人も多いです。逆にいえば、年齢を重ねて稼ぐ力を身につけた人なら、例えば30歳ぐらいから挑戦してもいいんです。どんどんチャレンジしてもらいたいですね。

ヨーロッパのレーサーには、かなり稼いでいる人がたくさんいます。着けている腕時計も、高級なものばかり(笑)。なにせ世界の一流腕時計ブランドが、公式時計を担当していますから。レース中に腕時計は着けませんが、レース前後で着けていると、必ずどこのブランドなのかチェックされます。特に日本人選手は今シーズン2人しかいないので、注目されるチャンスが増えるなか、エドックスのアンバサダーになれたことが本当に嬉しかったです。

愛用しているクロノラリー クロノグラフ 45は、モータースポーツに着想を得たモデルとあって、レーサーのハートを刺激するデザインが満載。チタンケースやカーボンダイヤルといったメカニカルな要素は、やっぱり惹かれます。特に気に入っているのはプッシュボタンですね。来シーズンは、表彰台でエドックスの腕時計を着けている姿を、より多くの日本の方に観ていただけるように頑張りたいです。

CHRONORALLY
CHRONOGRAPH 45
クロノラリー
クロノグラフ 45
Ref.38003-TINRO-CARO

2025年にリリースされた新バリエーション。同モデルは、世界ラリー選手権やダカール・ラリーなどで公式計時を務めた経験を持ち、ザウバーF1チームやBMW Mモータースポーツとのスポンサーシップなど、モータースポーツの最高峰と蜜月を築いてきた、エドックスの歴史を体現しています。

エンジンのシリンダーからインスピレーションを得たプッシュボタンや、0.1秒単位で計測可能な1/10秒クロノグラフ、またバイクのメーターを想起させるインダイヤルなど、その機能やデザインにおいて、モータースポーツの世界を随所に落とし込んでいるのが見どころ。ケースには、高強度で耐熱性の高いチタンを採用。タイヤをイメージしたケースバックのデザインなども、モータースポーツ好きの物欲を刺激します。

キャリバー:クォーツ(EDOX38)、機能:時針・分針・秒針、クロノグラフ、ビッグデイト、レトログラード式曜日表示、ケースサイズ:直径:45mm、厚さ:15mm、ケース素材:チタン、ダイヤル:カーボンブラック、ベゼル:チタン(ブラックPVD)、防水:10気圧/100m、ガラス:サファイアクリスタル、ストラップ:ラバー

Profile

鳥羽 海渡 (オートバイレーサー )

2000年、福岡県生まれ。5歳からオートバイレースの世界に触れ、2013年に全日本ロードレース選手権に出場。2014年には若干14歳にしてアジアタレントカップを制し、ランキング1位に。翌年からはMoto3クラスを中心に世界選手権に参戦し、2019年にはカタールGPで日本人初優勝を達成。2024年からはスーパースポーツ世界選手権に参戦し、着実に世界の舞台で実績を積んでいます。
公式インスタグラム:@kaito_toba

Text :Masafumi Yasuoka