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各界の第一線で活躍する著名人へのインタビューによる連載ページ“エドックス ラヴァーズ”。
プロフェッショナルな仕事へのこだわりや、彼らの愛用ウォッチなどに迫ります。
今月は、"groundrhythm" @AIRを拠点に、レーベル"SEEDS AND GROUND"を主宰し、クラブの枠組みを超えて音楽制作やプレイヤーとしても活動するDJ / プロデューサー Kaoru Inoue氏です。

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好きなものを辿っていったら、
DJに行き着いた

DJを目指したきっかけは何でしたか?

10代の頃から音楽が好きで、20代前半まで仲間とロックバンドをやっていました。機材をいじるのが好きだったので、20代はレコードショップで働きながら、電子楽器で曲を作ったりしていて。DJという存在を知ってから、こんな職業もあるのか、と。 初めは遊びの延長でしたが、そのうちフリーランスでいくつもの仕事を掛け持ちしながら、クラブの平日レギュラーとして活動するうち、幸運にも90年代に制作した曲が想像以上に売れてくれて。その辺りからDJへの道が現実的になりました。ちょうど80年代のディスコDJの時代から、曲をクリエイトするアーティスト的DJの時代に移り変わった時代背景も、僕を後押ししてくれたのかもしれません。

社交性、作家性、そして続けること。

DJで必要な資質は何だと思われますか?

音楽性はもちろん、社交性、作家性、そして続けること、でしょうか。 プロのミュージシャンとして社会的に認知されていない国内では、DJは厳しい世界です。不安を抱えながらも、新しいものを生み出す意欲や、未知の世界への好奇心にすべての時間と能力、集中力を費やし続けられたことは大きかったと思います。まだまだ音楽でやれることはすべてやりたいですね。
DJとは「時間と空間を創出すること」。楽しい時は、あっという間に過ぎて時間の感覚がなくなっていきますよね。そんな濃密な、日常とは違う時間と空間を、音楽、お酒、照明・・・スタッフ皆でデザインしていきます。それがフロアで共有できた時はやはり嬉しいですね。

ベストバランスを探り当てるため、日々葛藤

プロフェッショナルとはどういうことでしょうか?

DJという仕事においては、その日のお客様や現場の雰囲気を捉えながら、僕の音楽を楽しみに来る方も、お酒を楽しみに来る方も、そのどちらも巻き込んで楽しんでいただくこと。自分本位なプレイに偏ってもいけないし、自分の音楽性が全くないのもいけません。その日のベストバランスを探り当てるため、日々葛藤とせめぎ合いです。

生活や経験のすべてが音楽に繋げられる

大事にしていること、普段意識していることはありますか?

生活や経験のすべてが音楽に繋げられるんじゃないか、といつも思っています。
あと、活動を共にする仲間達と一緒に、お酒を飲みながらゆっくり音楽を聴く時間も大人になった今だからこそ、大切にしていますね。
そして、一定のテンションでいること。意識を“新鮮”に保つこと。自分自身が安定していないと、お客様を楽しんでいただくことはできないですから。

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Kaoru Inoue Profile

DJ/プロデューサー。神奈川県出身。
高校時代から20代前半までパンク~ロック・バンドでのギタリスト経験を経て、Acid Jazzの洗礼からDJカルチャーに没入する。
94年より"chari chari"名義で音楽制作も本格的にスタート。"真空管"、"MIX"、"BLUE"、"WEB"などの都内クラブで活動を続け、99年"chari chari"として、あらゆる音楽体験を昇華した1stアルバム「spring to summer」をリリース。03年よりレーベル"SEEDS AND GROUND"を主宰。またDJの他、小島'DSK'大介とのミニマル・ギター・デュオ"Aurora Acoustic"などプレイヤーとしても活動。現在レジデント・パーティー"groundrhythm" @AIRを拠点に活動中。2010年8月、Kaoru Inoue 2ndアルバム『Sacred Days』をSeeds And Groundよりリリース。以降、PCを使ったElectronic Liveも開始。2012年9月、3rdアルバム『A Missing Myth』をリリースし、長年の活動の集大成的な内容と話題になった。2014年、12年ぶりにChari Chari名義を復活させ、ライブ・バンドとして再生。インドア・フェス=RA@ageHaにて復活デビューを果たし大きなレスポンスを得た。今後の活動が期待される。

Photography:Hajime Kamiiisaka、AKE(ライディング写真)
撮影協力:代官山AIR
Special Thanks:L3 Inc.